医療事故・医療過誤・医療ミスについて弁護士に相談したい患者さん・ご家族さまへ。主に近畿圏(兵庫・大阪)で活動しています。
もしかして医療事故かも…?
一度、弁護士に相談して
みませんか。
厚生労働省からカルテ開示に関する指針が出て(平成16年12月24日)から、「カルテ開示」はずいぶん進みました。
そして、平成29年に新しくなった個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)が施行された今は、小規模診療所も含めて、個人情報保護法によってカルテの開示に応じる義務があります。
この間、私はいろいろな診療所また病院に対してカルテ開示をする機会がありましたが、医療機関の対応に疑問を持つことも少なくありませんでした。
基本料金5500円、コピー1枚25円、の例です
手数料がたかっ!
医療機関によっては、カルテ開示の申し込みをする際に「基本手数料」のようなものを徴収しているところがあります。医療機関により金額もバラバラですが、これまで見た中では5000円が最高金額です。(これに、紙1枚あたりの金額、画像の代金等が加算されます。)
また、写し1枚あたりについても、1枚10円よりも高額な医療機関がありました(30円の医療機関もありました)。画像にデータについてもさまざまですが、DVD1枚あたり2000円と言われたこともあります。
かつての、厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイドライン」を確認すると
医療・介護関係事業者は、保有個人データの利用目的の通知、または保有個人データの開示を求められたときは、当該措置の実施に関し、手数料を徴収することができ、その際には実費を勘案して合理的であると認められる範囲内において、手数料の額を定めなければならない。
となっています。また、個人情報保護法でも全く同様の規定ががあります(33条2項)。
紙カルテで、1ページ1ページ手でコピーするのであればやむを得ないと思いますが、電子カルテの一括印刷で出力が可能な病院で、基本手数料5000円やカルテ1ページあたり20円、30円は合理的とは言えないように思います。
代理人選任のための委任状に実印および印鑑証明書の添付を求められた
これは厳格に過ぎる気がして仕方がありません。
印鑑登録をしていない方も多いですし、医療事件のご本人は自由に動けないことも多く、ご家族などが印鑑証明書を取ってくるのも一苦労です。
弁護士を代理人としたカルテ開示の申請が拒絶される
弁護士を代理人としたカルテ開示の申請を拒む医療機関があります。
ご依頼者さんの代理人として(もちろん、カルテ開示についての委任状をいただいて)、カルテ開示の申し入れをしても断られるのです。ご本人もしくはご家族の申請でなければ受け付けない、というのです。
かつての厚生労働省のガイドライン中にも
保有個人データの開示等の求めは、本人のほか、未成年又は成年被後見人の法定代理人、当該求めをすることにつき本人が委任した代理人によってすることができる。
とありますし
また、個人情報保護法32条3項を受けた、個人情報の保護に関する法律施行令第11条でも
(開示等の請求等をすることができる代理人)
第11条 法第32条第3項の規定により開示等の請求等をすることができる代理人 は、次に掲げる代理人とする。
一 未成年者又は成年被後見人の法定代理人
二 開示等の請求等をすることにつき本人が委任した代理人
となっており、本人が委任した代理人による開示請求ができるはずです。
これらの規定にもかかわらず、任意の代理人による開示請求を認めないという対応は、明確に個人情報保護法に反しています。
「弁護士からの開示請求は訴訟目的だから応じない」と明言される
弁護士が、亡くなった患者の遺族から代理を受けてカルテ開示の申請をしたところ、当該医療機関から一方的に訴訟目的と決めつけられ「訴訟目的の開示には応じない」と言われたという話を聞きました。
そもそも、カルテ開示の目的について患者や家族に問うことについて、厚生労働省のガイドラインははっきり「不適切である」と指摘していました。
なお、申立の方式は書面による申立てとすることが望ましいが、患者等の自由な申立を阻害しないため、開示等の求めにかかる申立て書面に理由欄を設けることなどにより申立ての理由の記載を要求すること、申立ての理由を尋ねることは不適切である。
そもそも、開示申立の理由を尋ねること自体が不適切です。申立の理由いかんで開示の許否を決めてはいけません。
カルテ開示の例外になるのは、個人情報保護法28条2項各号
一 本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
二 当該個人情報取り扱い事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
三 他の法令に違反することとなる場合
にあたる場合に限られます。
この点、かつてのガイドラインでは開示の例外にあたる例として
・患者・利用者の状況等について、家族や患者・利用者の関係者が医療・介護サービス従事者に情報提供を行っている場合に、これらの者の同意を得ずに患者・利用者自身に当該情報を提供することにより、患者・利用者と家族や患者・利用者の関係者との人間関係が悪化するなど、これらの者の利益を害するおそれがある場合
・症状や予後、治療経過等について患者に対して十分な説明をしたとしても、患者本人に重大な心理的影響を与え、その後の治療効果等に悪影響を及ぼす場合
を挙げていました。そして同じことが「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイダンス」(平成29年4月14日、厚生労働省個人情報保護委員会)にも記載されています。
ここからすれば、既に患者が死亡したケースについて、患者の遺族が開示請求をすることについて、カルテ開示の例外にあたることはまず考えられないでしょう。
「弁護士がカルテを欲しいと言ってきた」→「訴訟を起こされるかもしれない!」→「開示拒絶」ということなのかもしれませんが、カルテ開示のあり方からは著しく不適切な対応です。
なお実際にも、弁護士が介入したイコール=裁判・訴訟提起ではありません。
郵送での開示申請や、郵送でのカルテの受け取りを認めない
開示申請、また、開示カルテの受け取りについて(医療機関によっては両方)、窓口に直接出向くように求める医療機関があります。代理人による申請の場合、代理人本人(つまり当職本人)が窓口に直接来ないと申請もできないし、カルテも渡さない、と言われるのです。(当事務所の事務局員による代理受領も不可とのとのこと。)
この点、かつての厚生労働省のガイドラインでは
保有個人データの開示を行う場合には、日常の医療・介護サービス提供への影響等も考慮し、本人に過重な負担を課すものとならない範囲で、日時、場所、方法等を指定することができる。
とされていましたが、個人情報保護法でも同じ規定になっています(32条4項)。
代理人弁護士による開示請求であれば、郵送による申請、また、法律事務所へ書留による送付で十分でしょう。窓口に出頭を求めるのは「本人に過重な負担を課すもの」にあたるのではないかと思います。
一部しか開示しない(全部を開示してくれない)
これが一番困ります。カルテ開示は、当然ですが「医療機関が誠実に対応してくれる(隠さずきちんとカルテ全部を開示してくれる)」ということを前提とした制度です。
こういうことがありました。
患者さんはA医療機関からB医療機関へ転院。
A、B双方から、カルテ開示でカルテを取り寄せる。
B医療機関のカルテの中に、A医療機関によるaという判断について記載があったが、A医療機関のカルテのすみずみまで見ても記載がない。
そこでA医療機関に対し「Bのカルテに、Aでaという判断がされた、と書いてあるのだが、開示されたカルテに該当の記載がないので、開示されたカルテに漏れがあるのではないか」と問い合わせをしたところ「開示していない診療情報提供書がありました。」「もう一度カルテ開示の手続きを取って下さい。」と言われる。
診療情報提供書を開示しなかったことはA医療機関のミスなので、再度の開示手続きや費用負担については同意できない、と抗議したが平行線となり、仕方なく再度手続きをする。(再度の申請のために申請費用5000円を払う。)
この件は、B医療機関のカルテで、受領したA医療機関のカルテに遺漏があることが分かったが、それがなければ、受領したカルテに遺漏があること自体に気づくのが難しい。
こういうことがあると「本当にカルテ開示で、きちんと漏れなく開示がされるはず」という根本のところに疑問をもってしまいます。
もちろん、きちんと対応して下さる医療機関も多いですよ。
でも実際に日々各種ケースにあたっていると、カルテ開示はまだまだであるな、と思うことが多いのです。
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