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キーワード:肝がん,定期的な検査の懈怠,発見遅れ
【事案の概要】
肝硬変で通院していたが後に肝がんで死亡した男性の妻と子どもらが、医療機関等担当医に対し、定期的な検査を怠ったために肝がんの発見が遅れて死亡した、と主張した。
【判決の骨子】
・男性はB型肝炎ウイルスによる代償性肝硬変であり、肝がんの発生について注意を怠ってはならない患者だった。肝がんの早期発見のため、AFP、PIVKAⅡの検査及び腹部超音波検査などを定期的に実施する必要があった。
・腫瘍マーカーの検査は約7か月行われておらず、超音波検査も約14か月行われていなかったのは、注意義務に違反している。
・AFP値が、前回に比べて30倍になったことを認識した時点で、肝がん発生の可能性を疑い、速やかに副部長音波検査、CT検査等を実施する義務があった。
・当時、腹部超音波検査で5ミリ前後の肝がんが発見可能であったこと、3か月に1回の腹部超音波検査で腫瘍径2センチから3センチの早期肝がんを診断できると考えられていることから、腫瘍マーカーについては少なくとも2か月に1度、腹部超音波検査については3か月に1度の頻度で行うとの注意義務を尽くしていれば、男性について肝がんを早期の状態で発見しうる高度の蓋然性があった。
・早期の状態で肝がんが発見されていれば、肝切除術も実施可能であり、エタノール注入療法も実施可能であり、長期にわたる延命につながる可能性が高かった。
【備考】 請求総額6426万余のうち、3616万余の支払義務を認めた。
男性は死亡当時満67歳で年金受給中あったが、判決は、平均余命である15.56年の間生存していたと認めることはできず、年金を受け取ることができたのは7年間であった、と認定している。
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