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キーワード:胃がん,バリウム検査,見落とし
【事案の概要】
平成14年1月13日に胃のバリウム検査を受けたが、その後平成14年4月1日に胃がんで死亡した男性の子らが、医療機関に対し、バリウム検査の後に内視鏡検査及び生検の可能な医療機関に転院させる義務を怠った、と主張した。なお、過失と死亡との間の因果関係も争われた。
【判決の骨子】
・バリウム検査の際、胃角の開大、胃角部の輪郭が直線的であったから、胃壁が硬化していたと推認される。胃角部の輪郭が4センチにわたり不整となっており、伸長不良が見られ、その部位に癌が存在する可能性を相当程度強く示唆するものだった。
・造影検査後、内視鏡検査等を受験するように指導すべき義務を怠った過失がある。
・当時の病期は推定するほかないが、Ⅱ期~ⅢA期と見るのが相当である。
・胃角部を中心とする内視鏡検査及び生検を実施すれば、癌を発見し得た可能性は極めて高い。
・バリウム検査後の近い時期に、胃がんに対し治療がされた場合、切除は可能であった。
・医療機関が、内視鏡検査等を行える医療機関を紹介し精密検査を受検するよう指導していれば、男性の胃がんは発見され、これに対する治療がなされることによって、男性が死亡した平成14年4月1日時点でなお生存していた高度の蓋然性が認められ、過失と死亡との間に因果関係は存在する。
【備考】 請求総額8893万余のうち、4131万円余の支払義務を認めた。
証拠保全の費用、あっせん・仲裁センターへの申立費用については、必然的なものではないとして認めなかった。
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