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弁護士 小野郁美

くすのき法律事務所(兵庫県弁護士会所属)

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甲府地方裁判所平成29年4月18日判決

キーワード:高齢者,術後せん妄,徘徊

【事案の概要】

 直腸がん・S状結腸がんの手術を受けた後の男性高齢患者(当時83歳)が、術後せん妄によって夜間に徘徊し、待合室で心肺停止の状態で発見されしぼうしたことについて、男性の子らが医療機関に対し、術後せん妄を予見し徘徊を防止するための措置を怠った過失があると主張した。

 

【判決の骨子】

・解剖がされていないため、男性の死因を性格に特定することはできないが、急性肺血栓塞栓症であった蓋然性が高いと認められる。

・男性にとって、術後せん妄の発症リスクはかなり高かった。

・午後11時ころからの男性の行動は、重度の術後せん妄によるものと見られるが、午後10時45分ころまでの時点では、男性に見当識障害が見られるものの、その程度は軽度であって、幻覚や妄想もあったと見られることを考慮しても、軽度の術後せん妄の症状であったと見ることができるにとどまり、その後短時間で急激に重度の術後せん妄の症状が発症したといえる。

・担当看護師が認識していた、男性の失見当識や妄想などの状況からすると、男性が夜間に転倒・転落、ラインの自己抜去などの危険な行動に及ぶ可能性があることを予見することは可能であった。

・担当看護師は、家族が病院を後にした後、夜間に術後せん妄が発症し、男性の生命/身体に危険が生じる事態の発生を防止するために、リーダーナースに相談するなどし、センサーの必要性を査定し、離床センサー等を設置すべき義務を負っていた。

・離床センサー等が設置されていれば、センサー等の反応によって、看護師において早期に男性の離床を把握することが可能であったといえるから、男性の歩行・徘徊を防止できた蓋然性は高い。

・男性にどの時点で急性肺血栓塞栓症が発症したのかについては、特定することはできない。

・男性がラインを抜去し、酸素の吸入がなくなってからは再び低酸素状態となった可能性が高いと考えられるのであって、低酸素状態における廊下や階段の歩行に伴う下肢筋肉、心臓等への負荷があったものと認められるから、廊下や階段の歩行に伴う下肢筋肉への負荷が影響して深部静脈血栓が遊離し、重篤な肺血栓塞栓症が発症した蓋然性が高いとみることには合理性がある。

・男性の徘徊を防止することにより、急性肺血栓塞栓症の発症を防ぐことができた蓋然性が高く、本件で現実に発生した男性の死亡という結果を回避できた蓋然性も高いと認めるのが相当である。

・ただし、下肢深部静脈に血栓が生じていたと考えられることからすれば、その後のリハビリあるいはトイレ歩行等に際して肺血栓塞栓症を発症するリスクがあったということができる。

 

【備考】 請求総額3315万円余(うち慰謝料2200万円)のうち、1265万円(うち慰謝料800万円)の支払義務を認めた。

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